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となりの犬 - 2012.06.24 Sun

年老いた犬は遠くに行かない
おばあさんといっぴきはどこかで折り合い
家を出て誰にも会わなければ太い電信柱5つ
ゴミの日にときどきつかまるわたしに
犬は上目遣いでサインを送る
わたしは屈んで犬を撫で
はなしは集積所に向かって頷く
立ち上がったら、だよ?
強制的に「ばいばい」
振り向く犬に手を振る
*
宵闇の抜け道は騒がしい
花屋の風見鶏がキィキィ啼き
風が何処に往くかなんて
花たちは首を項垂れ眠り始める
夜も更けたというのに
子どもたちは眠るきっかけを失い
塾から帰宅するあいだ
かん高い声は空をつつき夜道を照らす
あの犬はヲンヲン吠える
沈殿する夜を掻き雑ぜるものに
あの犬はヲンヲン吠える
夜風にひるがえるバスタオルに
おじいさんはいつだって「こら」だけ
口は声のないヲンのまま
ベランダと下の座敷で眼が合った
この間合いは…
もしやわたしのせい?
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風、小道 - 2012.06.19 Tue
Without You // The Piano Guys
わたしのなかでうず高く積ったまま
放っておかれた紙ふぶきを
雨の終わる場所で舞い上げたら
ふだんみている風景の
パズルだったことに気づくかもしれない
*
風がわたしを追い越していくとき
振り向いて笑ったので
わたしの何がおかしいのか
恥ずかしいことをしでかしてやいないか、と
しきりに自分を見回したりするんだ
坂の風は背中を押してくれるけれど
下ろした前髪もからかうので
ハンカチでおでこを抑えて
フェンスを掴む囚人たちのような犬の子草、に
急いでなんかいないよと目配せしたんだ
*
わたしのなかでうず高く積ったまま
放っておかれた紙ふぶきを
抱えた分だけ並べてみたら
ふだんみている風景の
パズルだったことに気づくかもしれない
やわらかい、葉がさわわ
風、小道
きみの家へとつづく道
次の雨には - 2012.06.16 Sat
後日談の一年後。 - 2012.06.14 Thu
止まれ - 2012.06.08 Fri
ジューン - 2012.06.06 Wed
月食 - 2012.06.04 Mon
music - 2012.06.01 Fri
音が鼓膜の向こうに行きたがる
私はそれを内側で聴き入り
こころのなかの泉に落とす
水面に現れる紋は世界になり
誰にでもなり何処までも往く
乱暴に、または丁寧に
四方八方に飛び散った飛沫
それらは言葉になりたがる
ときにはサボって水浴びだけをし
私は裸のまま世界を歩こうとする
誰にもなれず何処にも行かれない
がっかりした私は
微振動し続ける水の上に在る
七色に輝く粒子などを拾い集めて
やがて消え往くものを記す